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改善されないやっかいな耳鳴り
一日の大半あるいは一日中、耳鳴りの音のため気が休まらない、ストレスを抱えているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

私は音響エンジニアという耳を使う仕事をしていますが、数年前から耳鳴りを自覚するようになりました。

仕事に差し支えるということもありますが、日常生活でも鳴りつづけている耳鳴りの音から解放されたいという思いで、医療機関の診察を受けたり、関連する情報を収集してきました。

このサイトでは、私の経験と耳鳴りについての情報をわかりやすくご紹介し、耳鳴りの音響療法にもご利用いただける音源を無料で公開しています。



 

【耳鳴り体験談】

突然やってきた耳鳴り

またキーンという音が鳴っている・・

その時は、いつもの一過性の耳鳴りで放っておけば消えるものだと思っていました。

しかし数か月が過ぎても耳鳴りの音が消えることはなく、次第に気に掛かるようになってきたので、耳鼻科で診察を受けることにしたのですが・・


耳鳴りは治らないと説明される

そのクリニックでは簡単な問診と聴力検査を受けましたが、聴力に異常は見られず問題は無いという診断を受けました。
そして「耳鳴りは治らない」と伝えられて診察は終了しました。

また、かかりつけのクリニックで健康診断を受けた際にも、耳鳴りについて相談してみると、「耳鳴りは治らない」から諦めた方が良いとアドバイスを頂きました。


【耳鳴りとは】

耳鳴りは治らない?

私のような経験をされた方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?

なぜ、ドクターはそのような言い方をされたのでしょうか。

それには、急性の難聴に伴って発症した耳鳴りなど、聴力の回復に伴い耳鳴りが改善されるケースもありますが、私のように慢性化した耳鳴りの場合は、耳鳴りの音自体を消失させることが難しいという実情があります。

そのため、耳鳴りの苦痛を和らげるための治療法が存在するにも関わらず、耳鳴り以外に治療を必要とする症状がない場合には、「耳鳴りの音を消せない」=「耳鳴りは治らない」という説明のみで診察が終了するケースがあるようです。


耳鳴りはなぜ起こる?

耳鳴りが起こる要因のひとつとして考えられているものに「難聴」があります。

  • 1. 難聴によってある音域の聞こえが悪くなる

  • 2. 脳への電気信号にその音域の音声情報が不足する

  • 3. 脳が不足した音域の電気信号を増幅させる

  • 4. 耳鳴りが発生する

加齢による聴力の低下は高音域から始まることが多く、キーンというような高い音の耳鳴りを自覚することが多くなります。

私も耳鳴りを自覚する1~2年前から、音が籠って聞こえると感じることが多くなりましたので、高音域の聞こえが悪くなっていたようです。

なお、耳鳴りがあっても聴覚検査で難聴と診断されず、聴力に異常が無いと診断される場合がありますが、一般的な聴覚検査で測定されるのは下記の特定周波数(音の高さ)となるため、それ以外の周波数の聞こえについては測定できません。(※専門的な音響検査に於いては、より広範囲の周波数での聴覚検査も行われます

私の耳鳴り音の周波数は13,000Hzですが、一般的な聴覚検査は前記のとおり8,000Hzまでの測定しか行われませんので、私の場合は聴覚の異常を検知することはできません。

また高い音域については、加齢等によって徐々に聞こえが悪くなっても日常生活にあまり支障が表れず、私のように難聴であることを自覚せずにいる場合があります。

 

難聴の他にも肩や首の凝りや病気、薬の副作用など、耳鳴りを誘因するとされる要素は様々です。

病気の例  外耳道炎,外耳道真菌症,中耳炎,耳硬化症,耳管狭窄症,  薬剤性内耳障害,メニエール病,突発性難聴,老人性難聴,内耳炎,梅毒,外リンパ瘻,髄膜炎,聴神経炎,脳梗塞,聴神経腫瘍,高血圧症,脳動脈硬化症,糖尿病,高脂血症,動脈硬化症,心身症,顎関節症,うつ病,自律神経失調症など
その他の例  妊娠,ストレス,睡眠障害,音響外傷,耳垢栓塞,肩こり,首こり,頭部の打撲,貧血など

耳鳴りは脳血管障害、聴神経腫瘍、糖尿病などの病気を伴っている場合があります。
耳鳴りでお悩みの方は医療機関で診察を受けて、ご自身の健康状態をご確認されることをお勧めします。

 



耳鳴りと付き合う

耳鳴りの音は消えなくても、治療によって耳鳴りを意識せずに生活できるようにする事は可能です。

耳鳴りの診療を行っている医療機関では、精神安定剤・ビタミン剤・循環改善剤などによる薬物療法の他、カウンセリングや音響療法などを行って、脳が音を認識する仕組みを利用して耳鳴りの音を意識の外に追いやるための治療などが行われています。

また、精神的なストレスを解消させる為の、はりやマッサージ、自律訓練法などでも症状の軽減がみられるケースがあります。

 

耳鳴りの症状を改善させるためには患者本人の心構えも大切。
「耳鳴りは健康を害する病気か何かのシグナルではないか」「今後の生活に支障をもたらし続けるのではないか」といった不安を抱えたままでは、絶えず耳鳴りを意識する事に繋がり悪循環を生んでしまいます。
繰り返しにはなりますが、耳鳴りでお悩みの方は医療機関で診察を受けて、ご自身の健康に関する不安を解消させましょう。

また何かに集中している時などで、気が付くと耳鳴りを忘れられているような時には、耳鳴りが鳴っている事を確認するために、耳鳴りの音をわざわざ聞こうとするということをしないよう心がけることも大切です。


耳鳴りと補聴器

難聴に付随して起こる耳鳴りついては、聞こえを補聴器で補うことにより耳鳴りの症状が改善されるケースがあります。
また、耳鳴り治療の為のノイズ音を発生させる機能を備えた補聴器もあり、治療のため処方している医療機関もあります。

補聴器は健康保険の適用外となりますので、病院の処方や専門店で購入する場合には数万円からの費用が掛かる一方で、ネットの通販などでは安価に入手することが可能となっていますが、補聴器の使用にあたっては検査に基づいた補聴器の選定・調整や定期的なメンテナンスが欠かせません。
補聴器の使用を検討されている場合は、耳鼻咽喉科の診断を受けられてから、専門的な知識・技能をもったスタッフのいる販売店等で購入されることをおすすめします。

 


【音響療法】

TRT療法について

TRT療法(再訓練法)とは、耳鳴りに関する教育・カウンセリング(心理療法)とノイズを利用した音響治療を行い、脳での耳鳴りに関する感受性を減少させ、最終的に耳鳴りによる苦痛の解消を目指すというものです。

音響療法ではサウンドジェネレータという機器を使用して、脳を耳鳴りの音に慣れさせるために、耳鳴りの音よりも少し小さいボリュームのノイズ音を耳に送ります。
このノイズ音についてはホワイトノイズが使用されることが一般的ですが、環境音の代用についても研究が行われています。

また、静かな状況に置かれると耳鳴りの音は際立つため、日常生活での静寂を避けるための背景音として音楽や環境音を流すことがすすめられています。

 

 

背景音の再生については、Bluetooth(無線)に対応した小型のスピーカーやヘッドフォンがおすすめです。音を再生しているパソコンやスマホなどを移動することなく、スピーカーやヘッドフォンを単体で持ち運びができますので、手軽に背景音を耳に届けることができます。

当サイトでは、背景音としてご利用いただける自然環境音を無料公開しています。
下記のプレイリストより、どうぞお気軽にご利用ください。




まとめ

いかがでしたでしょうか?

耳鳴りは、その音自体を消すことは難しいですが、治療によって生活への支障を解消することは可能です。

「耳鳴りは治らない」と診断された方も、耳鳴りとうまく付き合って生活を送って頂けるよう、当サイトが少しでも助けになれば幸いです。

 


参考文献
神崎仁「耳鳴りを治す」(2013)慶応義塾大学出版会
耳鳴に対する新しい治療法・TRT(療法)
耳鳴治療TRTにおいてノイズに代用できる自然環境音の検討
補聴器による TRT を継続し得た症例と継続し得なかった症例の検討
耳鳴り再訓練療法(TRT)耳鳴りと過敏症患者の治療法として


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